Acckyです。
今回はRock oN Company 渋谷店で行われました
TOONTRACK社のドラム音源『SUPERIOR DRUMMER 3』のセミナーのレポートです。
本セミナーは以下のような二部構成となっています。
第一部:SUPERIOR DRUMMER 3 新機能紹介
第二部:SUPERIOR DRUMMER 3 活用術+ドラム音源に対する考え方
では早速、第一部の方からレポートをしていきます。
第一部:SUPERIOR DRUMMER 3 新機能紹介
第一部はSUPERIOR DRUMMER 3 (以下SD3)の新機能紹介です。
今回は9年ぶりのアップデートということで、かなり期間が空いていました。
その間に他社製のドラム音源のリリースや、下位版のEZ DRUMMERのアップデートが続いていたりと、SD3は待ちに待ったユーザーも多いかと思います。
そんな待望の新リリース。
新機能だけで言えば、WEBなどである程度情報が集められると思いますが、プロのエンジニアの使用感も聞きながらチェックできるのは貴重な機会だと思います。
飛澤さんはSUPERIOR DRUMMER 2は勿論、他社製のドラム音源も使用されているので、今回紹介するポイントは様々なドラム音源ユーザーの目線でも参考になると思います。
■サウンドチェック
今回は最大235GBの大容量サンプルがインストールされます。
飛澤さんは基本的にドラム音源は1つずつ単発の音をチェックし、アンビエンスはカットして生音をメインにチェックされるそうです。
セミナーの中では『ピッチが良い』『音が生々しい』とのコメントがあり、好印象を持たれたようです。
アンビエンスの音も良いとの事で、サウンドライブラリを手掛けたジョージ・マッセンバーグ氏とベルギーのスタジオでの収録が良い結果に繋がっていると分析していました。
■キット間の組み合わせが自由
今回はドラムキット数・プリセット数も前作に比べて増えているのでバリエーションは多いのですが、キット間の組み合わせが自由になった事もポイントとの事でした。
(前作までは別キットと組み合わせるためにはひと工夫が必要でした)
■ミキサータブが別ウインドウ化
前作まではドラムキットとミキサー画面はタブで切り替えていましたが、今作は別ウインドウで操作可能になりました。
また、ミキサーに内蔵されているエフェクトも掛かりが良いとのコメントもありました。
(調べてみましたが、前作5個→今作35個のエフェクト増加です)
■単音のエディットも充実
前作からある機能ですが、各パーツのピッチ変更やトランジェント調整も使い勝手が向上しているとの事でした。
これらのエディットが使える音になっているのも、前述したサンプルのレコーディングが良いから、という所もポイントで紹介されました。
また、リバース再生や電子ドラムっぽい音も出せて、生ドラム以外の音色が必要な場面でも色々と遊べそうでした。
■トラッカーでのMIDIコンバート
オーディオトラックからMIDIにコンバートする機能です。
これは飛澤さんのフロー効率化に役立つそうで、ドラムの差し替えが必要になった場合は複数のソフトを使って演奏を再現していたそうですが、この機能を使うことで作業が短縮されるので助かるとのコメントがありました。
以上、第一部でした。
今回のアップデートによって、音質の向上はもちろんの事、細かい部分での操作性が上がっている事が紹介されました。
今回は敢えて予習なしで参加したのですが、僕自身もSD2を使用していて『こうなったらいいな…』が実現しているアップデートで、第一部の時点で欲しくなりました笑。
第二部:SD3 活用術 + ドラム音源に対する考え方
小休憩を挟んで第二部はSD3活用術です。
飛澤さん作成のデモ音源を使い、ドラム音源に対する考え方を伝える内容となっています。
■データやり取りの作法
自分以外の人と楽曲を制作する際のデータやり取りについて。
エンジニアはアーティストと相談して楽器の差し替えを行う場合があり、その場合に元データがパラアウトされていると差し替えがスムーズに進むとの事です。
また、一度パラアウトしてデータ化しておく事で、ドラム音源が最新のDAWに非対応となった場合でも楽曲の再現が行える事もメリットとして紹介されました。
SD3ではミキサー画面からパラアウトの設定をして、DAWの各トラックに立ち上げる方法で進行。パラアウトする際のゲイン設定の重要性についてもアドバイスがありました。
■ドラムとベース
楽曲に合ったドラムを作っていく中でまず大事にしたい部分はスネアのピッチ感との事。
今回のデモ曲に合わせてデフォルトのピッチからエディットを行い、楽曲に合ったピッチ感に調整。
サンプルのピッチの良さが、エディットを行なってもある程度まで違和感なく使えることに貢献しているとのコメントがありました。
タムに関して、フロアタムのピッチ感、余韻を調整するすることでベースと混ぜた時の聞こえ方がどのように変化するのか、紹介されました。
■他のトラックと混ぜてチェック
スネアのアンビエンスを確認しながら、他のトラックと混ぜてチェック。
アーリーリフレクションのコントロールでスネアのパワー感が楽曲の中でどのように聴こえるのかを実践しました。
SD3ではサラウンド対応もしていて、内蔵のアンビエンストラックの調整でもしっかりと存在感のあるサウンドになっている事が確認できました。
■ミックスで大切な事
ミックスを行なっていく際、飛澤さんが大切にしている事についてもお話がありました。
『キック、スネア、ハイハット、ベース、ボーカル、これだけでカッコ良く聴こえるか』
今回のセミナーでもこの部分に重点を置いた内容であった事からも、参加者の皆さんに伝わるメッセージであったと思います。
ここで予定していた内容は終了。
最後は参加者からの質問コーナーでドラム音源やミックスについての質問に丁寧に回答し、セミナーは終了しました。
今回は新製品の紹介と飛澤さんのエンジニア目線でのドラム音源に対する考え方を学べるセミナーという事で、ソフトウェアとミックスに興味のある方にはとても有意義な内容になったと思います。
関連リンク
・SUPERIOR DRUMMER3 製品紹介ページ
・「Superior Drummer 3 」セミナーアーカイブ Part 1
・データやり取りの作法 (FlashLink web)
・録音レベルの決め方と重要性